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長生きのコツ? 「エ・アロール」(渡辺淳一)

子供時代からあこがれている叙情画家、藤田ミラノの絵。
インターネットから探し出しました。懐かしい『女学生の友』で親しみました。友だち同士で、その美しい少女たちを模写しては、それを交換したりして楽しんでもいました。

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藤田ミラノ画
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ところで、長生きのコツというタイトルですが、このプリントは前にアップした「長生きしなはれや」の裏側に印刷してありました。
中日新聞で連載された「エ・アロール それがどうしたの」(渡辺淳一 作)小説の、ある巻の部分です。
医師で作家の渡辺淳一の作ならではの、独特な目線で動物的臭覚のような傾向、人間の本能、本質を掘り下げて見ているようなテーマの小説が多いと思っています。この作品もある種のあがきもみられるものです。

長い小説の一部です。拾い書きしてみます。
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ベアリング(十五)

 異性やセックスに関心をもたず、淡々とマイペースを守るのも一つの生き方だが、そこで来栖(注)が思い出すのは、「廃用性萎縮」という言葉である。
 この言葉は本来は医学用語で、四肢を骨折したとき、腕や肢にギプスを巻いたままつかわずにいると、その部分が痩せて萎えてしまう。
 こういう事実をいっているのだが、これは四肢にかぎらず、内臓から脳まで、人体のすべてはつかわなければ働きが悪くなり、やがては能力が落ちて廃れてしまう。
 いいかえると、人体は本来、つかうためにできているのだが、ここで注意しなければならないのは、この廃用性萎縮は仕事や趣味、そして異性への好奇心まで、すべてにおよぶことである。
 たとえば、趣味で絵を描くとか、俳句をつくるといったことが好きで、いつもしていると、そちらのほうのセンスが磨かれ、徐々にでも上手になっていく。
 だが、なにかのきっかけで、それを一度やめ、そのまま怠けていると、やがてそちらのセンスも失われ、ついには一切やらなくても平気になってしまう。
 まさしくやらなければやらないで、その状態に馴染むという意味で、廃用性萎縮そのものである。
 もし、こういうことを重ねていくと、人間はかぎりなく無気力になっていくが、これは異性への好奇心やセックスにおいても同様である。
 いまさら好きだ嫌いだなどといって追いかけたり追われたり、そんなことは面倒である。異性を愛したり、セックスなどしなくても、自分は自分なりに納得して生きていける。
 そう考え、恋愛やセックスなど、無意味でつまらぬものと思っているうちに、本当に異性などいなくても平気になり、やがて、その人自体から、恋愛的雰囲気が失せるとともに、艶めかしさも消えていく。
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以下日本画は、そよぎ自身が昔描いて、
このブログ上で何度も登場の日本画(12号・6号)
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「エ・アロール」(注)にも、たしかにこのタイプの男女はいるが、どちらかというと男性に多いようである。
 むろん、だからいけないなどという気はないが、総体的に見て、異性を追いかけているひとのほうがはるかに元気で、若々しいところをみると、この廃用性萎縮になることだけは避けて欲しいと、来栖は思う。
 来栖の考えが浸透しているせいか、「エ・アロール」の入居者は、みなおおむね前向きで、活動的である。
 ゴルフや水泳などスポーツに興じている人もいるし、場所柄、銀ブラを楽しんだり、歌舞伎座やデパート、さらには隅田川べりまで散歩に出かける人もいる。むろん、施設のなかにいて、いろいろな趣味や稽古ごとに熱中している人もいるし、さらにはいまだにときどき、会社や事務所に出勤している人もいる。
 いずれにせよ、年老いて無気力になることほど、危険なことはない。それは自らを甘やかし、自らの能力を萎えさせ、ひいては老いを加速することにもなる。
 いつも健康で若々しくいるためには、常に好奇心をもつことで、そのためには、多少、人の噂好きでもお喋りでも、お節介でもかまわない。それが、その人の生きていくエネルギーになり、前向きの意志をもたらす原点になる。
 
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 この点についていえば、やはり女性のほうが噂好きで、好奇心が旺盛である。女性が男性より長生きして、元気な理由の一つは、このお喋り好きにあると、来栖は思っている。
 とにかく、女性は年齢をとっても、三人揃うと姦しいが、男は何人集まっても、ひっそりとして、黙りがちである。
 多くの男たちはそんなくだらないことは話せない、と思っているようだが、お喋りが頭を活性化させ、若返らせることは間違いない。当然のことながら、喋るときは相手の存在を意識し、そのうえで言葉をやりとりするのだから、なによりも頭をつかう遊びであることはたしかである。
「年齢をとればとるほど、頭をつかってください」と、来栖はことあるごとにいっている。
「人間の臓器のなかで、大脳は一番強く、頑丈につくられています。頭はどんなにつかってもつかい減りしない、いわゆるリザーブ能力を秘めているから、どんどんつかうことです。逆につかわずにいると、脳はたちまち怠けて萎縮し、呆けてしまいます」
「仕事はもちろん、趣味や稽古ごとからお喋りまで、頭をつかうことならなんでもいい。極端な話、悪いことを企んでいても、頭はつかいましょう」
 嫉妬したり憎悪することも、年齢をとった人にはそれなりに、生きていく原動力になると、来栖は考えている。(中日新聞 H14.9.22)

注・来栖…ヴィラ・エ・アロールという名の老人ホームの経営者の名前

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絵から遠のき、作句までも忘れている現状です。最近、いろいろ衰えていると感じることは、もう自分で生み出すことを辞めているからだと思っています。

父母が大事にしてくれていたのは、私のお手製、手作り作品というもの。
鉤針編みのワンピースや洋裁で作り上げた娘のレインコート、ブラウス、刺繍の幼稚園バッグやリサイクルの手提げ袋などや版画の絵とかでした。
私しか出来ない、私が手掛けたものなどが大切なものだったのです。有難いと思いました。

この小説を読んで、まだ、頑張って楽しんでいるというものは、一つだけ。友人と談笑してそれなりの生活の知恵など得たりできるお喋り三昧は、積極的にしていると自己評価。
これだけは「はなまる」かも知れないと思います。














by nagotu3819 | 2015-06-16 12:21 | 短詩・つぶやき


その時々の想いを趣味や日々の献立などを載せながら楽しくアップします。ブログ内の記事等の転用は管理人にご一報ください。


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