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きさらぎの (『快老のスタイル』②)

昨日のアップロードだけでは物足りないし、私も言い足りないのでその続きです。
若い時の象徴は「人に恋する」こと、何でも「興味」を持ち、「行動」できることでしょう。
氷の塊のような冷たさ、また四角四面で形も変えることが出来ない頑固な老境には居たくないと思います。
若さの心は忘れたくはないし、積極的に柔らかさのある心をもっていたいと思っています。
ただ、私の恋する相手、愛している人はわが夫です。何の変哲もなくて、申し訳ないことですが…。

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島崎藤村の「初恋」の部分…

  やさしく白き手をのべて
  林檎をわれにあたへしは
  薄紅の秋の実に
  人こひ初めしはじめなり

藤村は信州の人。『若菜集』1897年刊。

立原道造も信州追分辺りを背景に林檎がうたの中で光る。二十三歳くらいの作。 『愛するⅢ』から

  おぼえてゐるかしら――お前に僕は林檎を持って行って
  あげた お前の髪の毛に手をいれしづかにやさしく撫でた
         (中略)

  心のなかに若い望みと老いたかなしみが燃えてゐた……

  僕はお前の頬にくちづけし
  お前の目は見開いてよろこばしげに僕を見た
  日曜日だった とほい鐘が鳴ってゐた
  光は森に満ちてゐた

道造は藤村の「初恋」から40年ほどたっているが、恋心の本質はすこしも変わっていない。(本文から)

佐藤春夫の道ならぬ恋『殉情詩集』は苦しい。つぎは 「海辺の恋」―抜粋―

  こぼれ松葉をかきあつめ
  をとめのごとき君なりき。
  こぼれ松葉に火をはなち
  わらべのごときわれなりき。

…老人は恋をしないか。
しないはずはないが、若いときのように「このひとと結婚する」という前提を立てて恋をする可能性が薄い。

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…七十を過ぎて妻がいたり夫がいたりする老人に、相手を裏切ってまで恋に賭ける精気がそう易々と湧きでてくるとは限らない。せいぜい、むかしの恋をなつかしむのが関の山。それぐらいなら罪にはなるまい。(本文から)

(ふ~ん、罪では無いかも知れないけれど…。嫉妬ぶかさの特許をもつ女性の立場では…ネ。
でも……、割り切ってやりましょうか。) 

長瀬清子の詩に

  老いることはロマンチックなことなのか
  もうあと僅かなので
  心はいそぐ朝も夕も
  崖っぷちの細道をゆくように

また、こうも言う。―抜粋―

  もう過ぎてしまった
  いま来てもつぐなえぬ
  一生は過ぎてしまったのに
  あけがたにくる人よ 
  ててっぽっぽうの声のする方から
  私の方へしずかにしずかにくる人よ 
  足音もなくて何しにくる人よ
  涙流させにだけくる人よ

恋が実らなかった悔い。老いてもその悔いが消えることがないという、それほどの秘めた力を持っているのか。(中略)詩人は八十歳になって恋の怨みをうたい出した。
      ※ててっぽっぽうとは、なんだろう。にわとりか、鳩ポッポか…。

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ちょっとびっくりの、室生犀星の詩。

―何もかも手おくれのどうしようもない…、こんな言葉を読んだら相手は取り返しの仕様もないバカなことをしてしまったと、凄く落胆してしまうだろう。―

男の意地を表す詩として挙げられたものは、詩集『昨日いらつしつて下さい』1959年刊
                                     室生犀星(七十一歳) 
  きのふ いらつしつてください。
  きのふの今ごろいらつしつてください。
  そして昨日の顔にお逢ひください、
  わたくしは何時も昨日の中にゐますから。
  きのふのいまごろなら、
  あなたは何でもお出来になった筈です。
  けれども行き停りになつたけふも
  あすもあさつても
  あなたにはもう何も用意してはございません。
  どうぞ きのふに逆戻りしてください。
  きのふいらつしつてください。
  昨日へのみちはご存知の筈です、
  昨日の中でどうどう廻りなさいませ。
  その突き当りに立つてゐらつしゃい。
  突き当りが開くまで立つてゐてください。
  威張れるものなら威張つて立つてください。

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人間七十にもなれば、どこか上品な乾きは備えていたいものだ。室生さんはそんな人だったのではあるまいか。(本文から)

こんな言葉を投げかけられた女性は、物凄く後悔しただろう。
「なぜ昨日行かなかったであろうか…」どんなに嘆いても、もう絶対に取り返しがつかない訳だもの。
本当にどうしようか……。



(大むかしの写真~前から3段目右から7人目がかつての私で~す。)

by nagotu3819 | 2013-02-21 05:35 | 短詩・つぶやき


その時々の想いを趣味や日々の献立などを載せながら楽しくアップします。ブログ内の記事等の転用は管理人にご一報ください。


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