「わたげ」を拾い読み ④ 蛇足も。 1992年5月 No.144

後の方に蛇足です。
e0228147_16542585.jpg
1992.5 No.144
東山教室 
課題「誘う」
菜の花ひらひら 誘われて真昼 そよぎ
霞む月 母に手紙を出すことに そよぎ
三日月を誘う無駄だと知りながら そよぎ
矢田教室 
案内板に誘われているわが遊び そよぎ
変換キーに誘われ昼も夜も そよぎ
信号のままに動くと人に当たる そよぎ

e0228147_16540424.jpg
誘いの電話の向こう眉の月 和尾
花の香に誘われ夢はこの程度 和尾
快晴に誘われている春の橋 和尾
思い出を誘うごとくリラの花 和尾




 東山教室 
席題「バス」
春風とバスを利用で東京へ そよぎ
回数券握って昼のバスに乗る そよぎ

無料バスのおばあさん乗せバスが出る 和尾
バスの窓 桜さくらと散り終える 和尾

雑詠「昴」選句一首
行く先もおぼろ 電車の客になる そよぎ
つり革というこれからも続く季節 和尾


※の印 あら~、ちっとも気づかなかったけれど
和尾先生は川柳の中で遊んで居られたのだわ。
お返事しているような、皮肉を言っているような…。
私以外の方にもそんな状態の言葉で
遊びつつ川柳を作っておられたのですね。

e0228147_16544112.jpg



1992.7.No.146
東山教室 
課題「アルファ」
ゆりかごに揺られていますアルファ波 そよぎ
足踏みの象の背中でアルファ波 そよぎ
アルファを期待していて落とされる そよぎ
矢田教室
目を閉じるアルファの波 見えてくる そよぎ
真っ白い帽子にアルファ七月に そよぎ
アルファの線上にいる迷い癖 そよぎ

αの飛沫よ梅雨の噴水塔 和尾
鳥舞わせα志向の空を見る 和尾
アルファとオルファは朝の触感で 和尾
迷ってα暗くてβ落とし物 和尾
e0228147_16550335.jpg

東山教室 
席題「電車」
スピード感それほどないのにもう着いて そよぎ
ふるさとの電車が走る絵とともに そよぎ
こんにちはさようなら電車は未来へと 和尾
カラー写真の中を走り抜けた電車 和尾

矢田教室 
席題「雑詠」
自転車が梅雨の頭で立ち尽くす そよぎ
有効な時転がして梅雨となる そよぎ
岬巡りのバスの乗客良く笑う 和尾
初夏に花咲いて大人も夢見がち 和尾

雑詠「昴」選句一句
あなたにも私にもある水ごころ そよぎ
汗吹いて坂の道いま踏みしめる 和尾

e0228147_16545397.jpg
1992.8 No.147
東山教室 課題「紙」
スペードとハートのA(エース)懐に そよぎ
コピー紙の反乱に遭う梅雨の中 そよぎ
騒音を紙に吸い取るムンクの絵 そよぎ
矢田教室
絵扇子のツユクサの青一人占め そよぎ
幸せは紙のパックに満タンだ そよぎ
アルバムにウィンクひとつ仕舞い置く そよぎ

席題「傘」
花柄を忘れ物して無地の傘 そよぎ
青春の折り畳み傘広げおり そよぎ

茶の傘を鞄に秘めて長い旅 和尾
人生というには傘の雨しずく 和尾

矢田教室 席題「鳴る」
メロディーにすぐ乗せられる朝の風 そよぎ
風鈴を困らす風に恋をして そよぎ
雷鳴やとらわれびとの群れにいる 和尾
烈火のごとき陽の翳で虫鳴きぬ 和尾


雑詠「昴」選句一句
夏の嘘 蛍生まれた話する そよぎ
てのなかのいちにちそれはあわきもの 和尾

e0228147_16545808.jpg


1992.9 No.148
東山教室 
課題「プロローグ」
発車ベル鳴って序章は雨の中 そよぎ
ヴィバルディ朝の一歩がはずみます そよぎ
快晴で白紙になったプロローグ そよぎ
矢田教室
歴史って繰り返すのねプロローグ そよぎ
プロローグはブラスバンドの長い影 そよぎ
風呂敷の包みから出すプロローグ そよぎ

プロローグにあったのは大雨注意報 和尾
プロローグから階段を降りている 和尾
挨拶は短く朝の停車場 和尾
雪雲湧いてそれ以後魚の匂い 和尾

席題「五」
五段目で一段飛ばす若さかな そよぎ
五周年我が家のキウイまだ生らず そよぎ
五番街のドラマを書いた夏の夜 和尾
暑中見舞いの束は薄くて五目飯 和尾
席題「蝉」
蝉しぐれ浴びて絵巻を紐解きぬ そよぎ
特急に乗ってしまった油蝉 そよぎ
樹液吸う姿のままで蝉は死に 和尾
斉唱する蝉の一生手のひらに 和尾

雑詠「昴」選句一句
ひとすじの決意 震える線を引く そよぎ
西に傾く半月ありて台風以後 和尾




その勉強しているときに小さな私の「川柳作品集」なるものを出版した。
自慢にはならないが、とても思い出深い一冊の本となった。



☆pageTop☆







現代川柳「綿毛の会」の勉強会は、学区の小学校PTAから文化部として始まった。
仲間も徐々に増えて、学区のPTAから独立して、近隣の学区の図書館とかの各施設を利用させてもらい、そこで勉強会が行われた。一か月に三回(第一、第二、第三火曜日)を当てて開かれた。
一番初めは」「矢田教室」であり、次に東山教室が誕生した。
私は二番目の教室の世話役として信頼する J.子さんと共に教室責任者になった。
その教室の作品誌の編集を担当した。やがて葵教室も生まれて三教室が揃った。そして四十年近くその教室が継続して開かれた。
どこも同じかと思うが、こういう教室は指導の講師の健康事情も存続の大きな要因となる。ご多分に漏れず、和尾先生は二十年前に脳梗塞で入院なさった。入院中も先生を頼り、退院なさっては会員が当番で送り迎えを担当した。ずっと一人の講師を支え続けてもいたし、先生も必死で会を守り続けられたので、ほかに講師を呼んでくるということは、先生にとっても大変に失礼に当たるかと、もう無理は出来ないと感じたK.子会長は皆と相談しつつ潔く教室をたたんだのであった。
先生とその周りで世話役として頑張ってこられた先輩諸姉の方々に深く憧憬の念を抱いている。お疲れ様でした。

なお、私の川柳作品集としてまとめた小さな本がある。
その本の序文に名古屋大学で夫と共に働いた国文学博士助川徳是先生が、私の作品の感想および推薦の言葉を書いて頂いている。ここに紹介することに…。
身に余る言葉を頂いたが、惜しくも助川先生は2016年夏にご逝去あそばされたのであった。

『私のドナウ』というタイトルで、1988年に所属の結社から小さい私の作品集を出版したことがある。
名古屋大学の国文学者・助川徳是(すけがわのりよし)教授にお願いして序文を寄せて頂いた。


ー静かな生活の中の詩ーと題したこの本の助川先生の紹介文で、芭蕉の句から始まる推薦の言葉を、私の観ている目の前で書いてくださった。

     (序文 全文)

アメリカやフランスの留学生に、芭蕉の『枯れ枝に鴉のとまりけり秋の暮』を訳させてみると、「鴉」を大抵は複数に訳す。なぜかと聞くと、鴉は群れをなしているから、と応える。
この句において鴉は絶対に単数でなければならないと、日本人なら誰でも知っている。それが日本人の詩心である。
O.S.(私の本名)さんのご主人は心理学者で私の同僚である。またご長女のM.さんは高校以来の私の娘の友人である。そんな関係から、S.さんの川柳を拝見する機会があった。
 ふとアメンボになりたくなった歩道橋
 ふかふかと眠り白鳥のように 冬 
S.さんの現代川柳には、美しい童心がある。日々の生活の中で、童心を失うまいとする靭やかな意志がある。このメルヘンは猥雑な現在を離れて、杳いところへ読者を連れて行ってくれる。
金魚鉢の中にある夏のイヤリング
キャベツの葉五枚むいても解けぬ謎
これらの句には、生活の中の鋭い感受や、こころの微妙な屈折がとらえられている。S.さんは生活を静かにみつめて、その深いところから、これらの句を汲み上げている。
私の好きな作家庄野潤三氏は、学校の教科書で、イギリスのエッセイスト学んだ経験を語って、これらのエッセイストが、彼の愛してやまぬ、チャールズ・ラムのように、「しっかりと自分の生活を持って、自然と人間を見ていること」に惹かれたことを告白したあとで、つぎのように言っている。
狂瀾の中に身を投じて美を求めないからと云って、これらのエッセイストを咎めることは誰にも出来ない。静かに生きることは、それほどやさしいことではないからだ。
S.さんも、当たり前の、目立たないパン種を発見しようとしているらしい。新奇な、奇矯なといったものは何もない。目立たない場所で、落ち着いてものを見、長い時間をかけて考えること、これは決して容易なことではない。しかし文学の根本は常にここにしかないのである。
尊敬すべき婦人、O.S.さんの一行詩集を、多くの人にすすめたい。



[PR]
by nagotu3819 | 2017-08-16 17:40 | 趣味・作品展・朦朧 | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : http://nagotu3819.exblog.jp/tb/25984745
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by oshibanayoshimi at 2017-08-16 20:54
こんばんは。
現代川柳というジャンルがあるのですね・・・・・
無季の俳句や、現代俳句という物も有りますから・・・
川柳を勉強したことはありませんが、そよぎ様の御句は、洒落ていて、センスがお有りと感じております。私はホトトギス系の玉藻や芹で勉強しましたが、諸般の事情で、止めました。又、一から始めねばと、考えております。なかなか気持ちの余裕が無く、難しいです。
Commented by nagotu3819 at 2017-08-16 22:11
♣oshibanayoshimiさん、ごきげんよう。
川柳とひとくくりにすれば、川柳ですが、古川柳というジャンルに対して現代川柳というのですね。
私も、かじりついたけれどたまたま好いお仲間が集まって来て、そんなに熱心ではなかったのですが、友だちとの交流とその会の機動力になっていることが喜びでした。
私にとっての川柳の効能は、物事は見えたそのも一辺倒ではない、ユーモアを帯びた考え方、受け取り方も多方面に及ぶ…から、大らかに、拘らずに生きて行こうと方向転換できたことでした。好いですよ。
名前
URL
削除用パスワード


その時々の想いを趣味や日々の献立などを載せながら楽しくアップします。ブログ内の記事等の転用は管理人にご一報ください。


by そよぎ

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

最新のコメント

もう11月ですよ。早いで..
by 長沼 at 23:25
本当に地球をいじめてはい..
by rabbitjump at 07:02
「11月…時はあまりにも..
by shizuo7f at 15:13
♣長沼さん、ごきげんよう..
by nagotu3819 at 00:00
こんばんは~^^ お孫..
by 長沼 at 20:58
♣押し花さん、ごきげんよ..
by nagotu3819 at 19:51
スキンのほうき草が綺麗で..
by oshibanayoshimi at 17:58
♣押し花さん、ごきげんよ..
by nagotu3819 at 00:22
♣rabbitさん、ごき..
by nagotu3819 at 00:12
♣雪うさぎさん、ごきげん..
by nagotu3819 at 23:54

最新の記事

11月…時はあまりにも早く
at 2017-11-06 00:20
10月は10月のうちに(学園..
at 2017-10-31 20:31
10月のうちに 横浜と茨城(..
at 2017-10-31 07:42
セントレア空港へ 行って来ました
at 2017-10-29 15:57
パソコンさん、ご無沙汰!!(..
at 2017-10-27 12:28
子猫さんからも…草木名を教え..
at 2017-10-11 03:11
今日は娘の誕生日です
at 2017-10-08 06:01
ガラケイとスマホと十五夜
at 2017-10-05 07:24
10月の香り
at 2017-10-01 05:40
限りある人生にある記念行事
at 2017-09-29 06:15
科学館~国営昭和記念公園へ
at 2017-09-27 06:55
オーロラドリーム ちょっとね!
at 2017-09-26 01:45
敬老の日と、誕生日祝いと
at 2017-09-22 07:43
子どもの頃に歌った遊び唄 (2)
at 2017-09-19 06:43
子どもの頃に歌った唄(1)
at 2017-09-17 06:40

外部リンク

ライフログ

以前の記事

2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
more...

ファン

カテゴリ

全体
今日の手帳
趣味・作品展・朦朧
短詩・つぶやき
旅・散歩:食事
今日の献立
健康・エクササイズ
交友録
私の原風景
カメラの目
memo
覚書

メモ帳

検索

最新のトラックバック

最愛の妻への愛と嫉妬との..
from dezire_photo &..
www.whilelim..
from www.whilelimit..
http://while..
from http://whileli..
新しい年に贈る言葉
from dezire_photo &..
箱根・山のホテル
from dezire_photo &..

記事ランキング

ブログジャンル

シニアライフ
関東

画像一覧