メールの返信に「久しぶりですね、楽しみです」…とあった。
例の皆さんと日程のご都合に合わせて会おうねと約束していた時期となってきたので連絡した時のお返事。
なんと四人のうち、お一人がちょっとだけ勘違いをなさっている様子で、合点が行かない応答をなさった。どうしたのか案じるままに、メールではラチが明かないと直接お声を確かめつつ電話でお話ししたのだが、とてもお元気な声で朗らかに話されたのだった。
ナナちゃん人形☞過去ページ
そう言えば、集まった元同僚仲間の私たちは友だちの見舞いをする目的で毎月約束して、お慰めできるならと病室に訪れることを続けていた。
その友だちが昨年暮れに惜しくも他界されたのだ。遺された私たちは、このまま散会するのも寂しいと、命というもの、人の世のはかなさを感じ入ってしまい、お見舞いというつもりではなく、引き続いて私たちだけでも会おうという気持ちが高まった。
惰性もあったかも知れない。それでも、その細い糸を切りたくはなかった。それぞれの想いはその後も、不定期ではあったが会って雑談など現在の想いを話したりして交流を続けた。
教え子たちの6月期クラス会に参加した後、夏の時期はお盆もあり、諸々の約束も結構あって忙しい。
そのうえ暑いことだし、今よりは涼しくなるであろう9月に
なったら…の、再会を約束していた。
遺された四人で会う約束の日のころに、
「私は今回から会うことを辞めたいのでよろしく…。」と
YHさんの寂しい申し出の電話があった。
YHさんのお気持ちやご家族の心遣いも、
それぞれの心にはそれとなく推し量られていたような…、
頷けることは、あるにはあった。
でも、直接彼女に会って歓談のなかでこの話を
聞きたかったと、YSさんは割り切れないようす。
しかしこういうことも自然の流れかとも思う。
永遠に続く訳もないことなのだから
退け時を心得て居られるのかとも思う。
限りある人生だ。それぞれの中でそれぞれの考えがある。我が身に振り替えればのんびりなどしてはいられない。
そして今、久しぶりの逢瀬の機会を折角だからと離れがたく思い、お茶を飲む馴染みの店、またはゆっくりできそうなお店を探して記名。席が空くのを待って落ち着けた。
その時、YSさんから傑作なお話を聞かせていただいた。
豪快に生き、潔くあの世に逝ったYSさんの従兄のこと。
私がかつて聞いていたことを話の呼び水的に合いの手を持ち出したりしたおかげもあってか、驚く話や意外な話へと発展する。
かいつまんでここに記しておこう。従兄は職業が医者、六人の子持ち。妻以外の二人の女性に婚外子が一人ずつ。婚外子の一人が司法試験に受かったと留守電が入っていたと…。そして外科医になっている子もいるとか。突然の死にも関わらず、遺産の分配は問題なく済んでいた。遺された家族も割り切っていたのだろう。
しかし、医者と僧侶は結婚したくないという思想がYSさんには芽生えていたという。
その話を聞きながら”事実は小説よりも奇成り”などというけれど、その「奇成り」の事実が頷ける気がした。小説の数ページを読んでいるような一人の人生を垣間見たような感動と衝撃が襲った。
実人生を披露なさってちょうど夕暮れ時―、日も短くなったと感じた9月の初めのこと。
今度はI.市で会いましょうということで3か月ぶりの逢瀬もここでお別れとなった。
またね!