青森へ文学散歩② 太宰を訪ねて

明治の大地主、津島源右衛門(作家太宰治の父)が
建築した入母屋造り、和洋折衷で明治40年6月に落成する。
どっしりとした重厚感が特徴。
国定重要文化財建造物に指定されている。
米蔵に至るまで青森ヒバを使い、階下13室2階8室
付属建物や泉水を配した庭園など合わせて宅地約680坪の豪邸。
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太宰はこの家を「苦悩の年鑑」の中で
「この父は、ひどく大きな家を建てた。
風情も何も無い、ただ大きいのである。」

芦野公園の登仙船岬の太宰文学碑には
太宰が生前好んで口にしたと言われる
選ばれてあることの 恍惚と不安と 二つわれにあり
とヴェルレーヌの一説が刻まれている。
(残念ながら今回は見ていない)

また、上の写真のご飯は太宰が好んだという、
納豆にイクラを混ぜたものです。
試しに食べてみましたが、
ご飯に混ぜるよりはイクラを別にして
食べる方がおいしいと思いました。
(これこそ好みですね。)

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上は旧津島家新座敷で太宰が疎開して暮らした家です。
はじめ、太宰の兄、文治夫婦の新居として建てられたといいます。

太宰が作家として暮らした現存するものの唯一の家となります。
奥の間の火鉢に座卓が置いてある部屋で執筆したと言われています。
「パンドラの座」「苦悩の年鑑」「親友交歓」「冬の花火」
「トカトントン」など数々の作品をここで書いたそうです。
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昭和17年5月に太宰は奥さんを伴って金木に
帰って来たそうです。
リンゴの花が真っ白に咲いていて岩木の頂の雪と裾野の花と…
綺麗で印象深い風景と残ったことでしょう。
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岩木山は方向や角度によって様がよく変わりますので
追っ掛けて写真に収めました。
雪解けが始まると頂上が女の横顔に見えると
いうことになっているそうです。

今がちょうど空を仰いだ横顔に見えます。
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修学旅行の生徒たちでいっぱいの
大広間で食べきれないほどの
バイキングの夕飯でした。

下は朝ごはん。やはりバイキング。
今関東では遠(トオ)に咲き終わってしまった
牡丹が咲いていました。
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ここは南田温泉、ホテル アップルランド。
私たち五人はまっすぐに岩木山が見える
素敵なお部屋でした。

でも到着したときは午後。
西日が当たり、部屋がふわ~っと暖かで
冷房装置もすぐに利かないで
不満に思いましたが、朝になると岩木山の様子で
一番素晴らしい部屋を当てがって
下さったのだとわかったような気になりました。
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そして弘前に降り立ちました。
弘前大学の資料館を目指してまいりましたら、
この日は日曜日で、休館となっていまして
がっかり!
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資料館はあきらめて、太宰が国立弘前高等学校
文科甲類に入学した際に、全寮制の彼が体が弱いとの理由で
母の縁故の酒造を家業とした家に下宿されたのでした。
そこが「太宰治まなびの家」です。
弘前大学から地図をたどっていったので
かなりわかりにくく大周りをしてしまいました。
ここでも太宰はかなりのお坊ちゃまぶりの様子でした。
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従兄弟である酒造家業の長男がコダックのカメラを
持っていて、太宰がそのモデルとなったというので、
若いころの写真が結構残っていました。

お得意のポーズは右手をあごの辺りに置いて
澄ましている事のようでした。

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太宰は蓄音機を持っていて、友達が遊びに来ると
蓄音機の置いてある所を舞台に見立て
芝居のようなこともして披露したそうです。

お得意のマントもこの部屋にかけてあります。
押入れの上の横に渡した柱には数学の方程式の
鉛筆書きが残っていました。

カメラを持っている従兄弟は京大に進み
蓄音機を持っていた太宰は東大に進学しました。
当時の学生にしては贅沢なことですし、
文学好きな太宰は自分で投資の同人誌を
発行したというのです。
好きなことができた大学生で、
よくいう貧乏学生の状況とはかなり掛け離れて
居たのです。

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太宰治が15歳の多感なころに、尊敬していた
芥川龍之介が自殺したニュースがあり、
これからの生き方そのものに大きな影響を及ぼしたとの
説明がありました。

これは太宰がやがては自殺願望に陥いる道に
迷い込んだという道筋を推し量ることができます。

以前東京文学散歩会で行ってみた「銀座ルパン」と
いうバーで6脚しかなかったスタンドの髙椅子を
落札したとの説明だったけれど…。
椅子の細工がやや違います…、けれど黙って頷きました。

ずいぶん自分勝手な心中未遂をする人という刻印は
太宰の印象となりました。
女性のみが亡くなり太宰が生き残るという
結果も二回ほどあり、それは望んでのことでは無いに
違いないし、本人は死にたいと思っているのに
ひとり遺されてしまうということは
運命のいたずらなのか…。

死にたかったら心中ではなく一人で自殺を
選択できなかったのかなと思います。

けれど太宰はこのような環境で、
プロレタリアに浸透していったので父親の得る
その嫌っていた収入源で、尻ぬぐいという後処理を
してもらい助けてもらいながら、
甘えん坊の人間性となったのか…
といって差し支えないように思えるのです。

身勝手な考え方をする太宰は、
見方によっては純粋で生きることに懸命であったために
自殺に到達するしかなかったということになるのかしらと
その生きざまを理解できないままに、
太宰の神髄というか本心に近づきたいと
自分なりに純粋すぎたと、そうあって欲しいと
願っている私に気づきます。

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人間一生懸命になればなるほど
堂々巡りをしてしまい、一歩外から客観的に判断すれば
正しく前向きな判断を下せたでしょうに。

思い切ったことができるのは作家であるからでしょうか。
「自殺と作家」は一つの流行、カッコよさなんていう
方向に安易に考えてきたのでは…という
観察をしてしまったのは甘やかされた太宰だからと
思い切って言ってしまうのは変だろうか…。
そしてそれは浅はかな見方であろうか。
死ということは軽く考えられないものでしょうから。

人の生き方はその人なりの満足感であろうと
思いますが、もっと明るい展開を
期待して生きたいと思いながら…、
私たちは太宰のお得意のポーズを真似て
この記録に収まってみたのです。

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それから弘前城へまいりました。
このお城は曳家の技術を活かして天守閣を移動していました。
カメラは電池切れで、映像の記録はおしまいです。

映像が残ってないと思い出も不確かになるものです。
映像があると、もうかれこれ一か月も前になることでしたが
思い出されるものなんですね。
移動した弘前城の下方向に八重桜が咲き残り
お城越しに岩木山が見事に目の奥にありました。
軽く過去のことと頭の中の映像から消え去って
居ませんでしたが、いつまで残ってくれるのかしら。
永久に残るような気もしないではないのですが
電池切れは何とも残念です。
これで秋田青森方面の旅行記は終わります。











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by nagotu3819 | 2016-06-10 12:12 | 旅散歩:食事 | Trackback | Comments(4)
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Commented by time2022 at 2016-06-12 09:36
太宰は若き多感な時期に誰しも一度は嵌りますね
「恥の多い生涯を送って来ました…」
文章が刺激的で…離せない時期がありました
以前「戻り川心中」というドラマがあり太宰はこんな人間だったかもしれないと再放送も再々放送も見ました
銀座のバーの「ルパン」の写真の太宰もなかなか興味深いものでした
Commented by yukiusagi_syakuna at 2016-06-12 10:32
そよぎさんこんにちは。
楽しい旅が続きますね。
元気に楽しく旅をする、ここの所私は忘れています。
元気な旅日記を見て、私もどこかへ行きたくなりました。
熟女5人組の旅は、
次回は何処へ行くのかな?
Commented by nagotu3819 at 2016-06-14 13:35
♣タイムさん、ごきげんよう。
やっぱり貴女は真の文学少女時代を送られてきたんですね。
私はいまだに拘っていますね。
そしてこの目で太宰のルーツをその土地で見て、聞いてみたいと思っていました。
そうですよね。ちょっとやそっとでは真似もできないような精神生活を送ってしまったことは、環境から培われたものが大きいと思います。
自己中心的な、親族にも迷惑をかけてしまう、大人になればあの人格はどうしても受け入れられないという方向の方が哀しいけれど大半かな…と思いますが、多感な時期に尊敬する芥川の自殺によって太宰の生き方の方向にも大きく影響していったのかと思いました。
もちろん、家の経済的なものにも反発を感じながらも、結局はお金による解決法の上に甘んじてしまう…。生き方も考え方も、環境による性格の形成に大きく影響することを証明しているような感じです。
少年期の写真があんなに残っているなんて、下宿先の従兄弟が当時珍しいカメラを持ち、太宰をモデルに写して現像印刷にもかなり裕福さを感じまわり中が豊かに暮らしていたことが分かりました。
Commented by nagotu3819 at 2016-06-14 13:46
♣雪うさぎさん、ごきげんよう。
そうなんですよ。どうしてこうなってしまったのかと思いますが、私もやや壊れかかっているんだなと思います。
自分で、あちらにもこちらにも好い顔をして付き合っているんですから…。
東北の次は、熱海静岡、そして京都。
1か月のうちにあちらこちらと、参加していました。
全部、違う仲間との旅行です。
一つは幼馴染(小中時代)、一つは同僚と教え子、そして一つは高校時代の親しい方との旅行です。
こんなに続けて旅に出るということは過去にはありませんでしたね。
なぜこういうスケジュールかというと、付き合いで良い顔しているから?かなと思います。
何でもイエスマンをしてしまう…。でもこれは今しないと後ではできないわと耳元でささやきが聞こえ(?)ますもの。
人付き合いが根っからの好きという観点で動いている所為なんですよね。
そのうちに動けなくなるということを先輩が教えてくれているんですもの…。
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