紫のサルビア
ひっそりと咲いている紫のサルビアを
尊敬したくなると
気にしてくれた人がいたわ
夏の間は賑わいもあったのに
いまはひっそりと静かな公園の陽だまりに
ピッカピカで咲いているわたし
同情なんか要らないわ
ちっとも寂しいとは思ってないのよ
大丈夫です
こう見えても沢山することがあるの
ほら、これから咲く蕾はわたしの妹
私は綺麗に咲いた後で固くて立派で黒々とした
種を作らなければならないの
あまりに目立って光りの中に咲いていたので
子どもがきて私の姉さん花をツンと摘まんで
蜜をチュッとすってくれたのよ
ママに聞いたんですって…子どもの時にこうして吸ったと
今は美味しいものがいっぱいだから
蜜を吸う遊びも一回だけですんだから…よかったわ
でも良く見ると
結構花を摘まんで蜜を吸われてしまっているわ
種を期待すること無理ね
いいか、いいよね
今楽しく咲いていることがいいのね
よいお花を咲かせていればそれでいいのよ
「花はただ咲いているから美しい
ただになれないわたし…」
と相田みつをがつぶやいているわ
それよ、それ
それだけで満足なのよ
花のわたしはネ
ちょっと前までは生ぬるいと感じた蛇口の水
もうすっかり冷たく感じて季節は完全に秋
さあ、秋は何をしましょうか
わたしは種を土に還すだけですけれど
ね