彼の母を見舞った。
3時間かかって、待ち合わせの八○○に12時着。義妹が駅改札口で待っていてくれた。
今日も雨。しかし、私はとうとう折りたたみ傘は開かずにすみ、遠くの空は気味の悪いような真っ黒の雲はあったが、時に雲間より太陽の光も差し込むひとときもあったくらい。
落ち着かない空模様の一日ではあったが、降られないだけまあまあ幸運という一日であった。
ちょうど、姑は昼食がすんだところで、彼女は午睡したいという風情。
車椅子で本当に気持ちよさそうに、うとうととまぶたを閉じてしまう…。
「おかあさん!」と呼びかけると目を開いてくれるけれどどこか夢うつつ…というような調子だった。
明治43年生まれ―今年の誕生日(11月15日)で101歳になる。
百人一首の出だしの5文字をいうと、その後を続けて詠う。
「瀬をはやみ…」というと「岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ」と続ける。
「思ひわび…」と言えば「さても命のあるものを憂きに堪へぬはなみだなりけり」
「玉の緒よ……絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする」……
眠いのに、義妹が上五を言うと、途端に口が動き出す。
参りました…ですよ。
彼の祖母(姑の母)も長寿で、行年95歳。
まだ私が若いころのこと…、きちんとされていて、畏敬の念で接したことを思い出す。
DNAにこの生命系が埋め込まれているのだろうな。
達者で長生きという申し分無いものが彼にもきっと息づいていると思う。
by nagotu3819
| 2011-05-30 22:58